ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「どんな理由だろうと、同期の彼女に手を出して言い訳ない。美姫も…初恋だからなんなんだよ。彼氏の俺はお前にとってなんなんだ。俺と別れてから峯岸に抱かれればよかっただろう」
確かにそうなのだ。
だが、峯岸と浜田が同期である以上、別れれば峯岸に知られる。
フリーになった美姫なんて峯岸にとってなんの魅力もないのだ。
背徳、スリリングな恋愛じゃなければ、美姫を抱く事はなかった。
そんな事を浜田に言える訳がない。
彼のプライドをこれ以上傷つけるなんてできなかった。
悪いのは自分なのだからと心にもない事を口走る。
「そのつもりだったんです。だけど、あの日そういう流れになってしまって、もう、峯岸さんとは会うつもりがなかったから、…浜田さんにバレなきゃ大丈夫かなと思っていたのに、バレちゃうなんて…最悪」
悪い自分を演じられただろうか?
浜田が、美姫を憎んで別れる決意をしてくれる事を祈りながら、彼の背を見つめた。
「別れないから…バレたんだ。別れる必要ないよな。俺は美姫が峯岸を好きでも今までのように好きでいれる」
予想外の返答に、美姫はベッドから降り浜田の前に座り直した。