ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「それじゃダメなの…浜田さんの気持ちは嬉しい。だけど、浜田さんの気持ちには応えられない。叶わなくても側にいたいと思うのは峯岸さんだから、浜田さんといられない」
「それが本当の答えなんだろう」
肩を掴む浜田の指先が強く食い込む。
痛みに顔を歪める美姫を見つめ失笑する浜田。
「…そうか!昨日電話した時には側に峯岸がいたんだろう⁈電話口でバカな俺を2人で嘲笑っていたんじゃないのか⁈」
声が高ぶる浜田に再び恐怖を感じ顔が強張っていく。
「そんな事してない。峯岸さんは浜田さんと幸せになれって言ってくれたのに、浜田さんに別れを言おうて決めたのは私。だから、お願い…です。別れてください」
涙を流し、懇願する美姫に、怒る気力を無くした浜田
も涙を浮かべる。
「…いつか、振った事を後悔しても遅いからな」
優しい浜田なりの精一杯の強がりだったのだろう。
「後悔するかもしれない。でも、一緒にいてもお互い
幸せになれないと思うから、…別れてください」
「あぁ、わかったよ。さよならだ」
美姫の頭を撫でて、そっと包むように抱きしめた浜田は、せつなく呟いた。
「好きだったよ」