ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「その気持ちに嘘はないの⁈もし、私が浜田さんを好きだと言ったら応援してくれる?」
心を探る駆け引きなんて必要ない。
美姫の心にいるのは、峯岸なのだから…
「はい」
「本当に?」
「本当です。早希さん、浜田さんが好きなんですよね」
図星を突かれ、頬を真っ赤に染めた早希は、今しがたまで美姫に詰め寄っていた人物とは思えないほど、オロオロしだし動揺を隠せていない。
「私、浜田さんが美姫を選んで諦めたつもりだったのよ。彼氏もできて吹っ切れたと思ってても、浜田さんが美姫と嬉しそうに話す姿に嫉妬して、どうして私じゃないんだろうって…彼氏といても浜田さんと比べてしまって、美姫には言えなかったけど、もう、別れてたの」
「そうだったんですね」
早希は、目の前にあるコーヒーを一気に飲んで美姫を見た。
「私、浜田さんに告白するわ。まだ美姫を好きでも、振り向いてもらうまで気長に待ってみるつもりよ」
「応援します」
「ありがとう」
わだかまりがなくなり、先ほどまでの自分を思いだした早希は苦笑いを浮かべる。
「責める言い方をしてごめんね」
「浜田さんを傷つけてしまったのは事実ですから…早希さんの気持ちがわかってよかったです」