ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
私は、ずるくて卑怯なのだ。
罪悪感から少しでも解放されてたくて、早希の気持ちを利用しようとしている。
浜田と早希がうまくいけば、浜田への裏切りが許される気がしたからだ。
「美姫は、その…好きな人と付き合うの?」
早希は、まだ不安なようで美姫の心を探る。
「いいえ…ふられました。でも、彼以外の人じゃダメなんです。その事は浜田さんにも伝えてあります。だから、浜田さんとよりを戻すとかないですから、早希さんは浜田さんの心を掴んでください」
早希は安心した表情をした後、心の不安を見透かされた恥ずかしさから両手を合わせ謝る。
「疑ってごめん」
「気にしないでください。私も早希さんの立場だったら同じ事してると思います」
「ありがとう。私、頑張るから、美姫も諦めずに頑張って」
詳しい事情を知らない早希なりに、励ましてくれた。
「……ありがとうございます」
ただ、その気持ちに応えたくて微笑んだ美姫に、早希は好奇心を隠そうとせずに喋りだした。
「美姫の好きな人ってどんな人?私、会ったことあるかしら?」
まさかの展開に美姫は、戸惑った。
「私の初恋の人です。偶然浜田さんの同期として再会して…」