ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

「その人って、[Forest]で会ったあの人?」


やっぱり、気づかれた。


「…はい」


彼氏の同期を好きになったことを、早希はどう思ったのだろう?


「そう、なんだ。浜田さんは知ってるの?」


「はい…彼を選んで浜田さんをふったことを後悔するぞって言われました」


「そうよ。後悔しても浜田さんはあげないからね」


「私には、彼しかいません」


お互い一瞬の間の後、ふふふっと笑いあった。


「あんな冷たそうな男より、浜田さんの方が素敵なのに、どうして?」


「どうしてなんですかね?どこがいいのか私にもわかりません。意地悪だし、人の気持ち無視して強引なくせに心を見せずに、ずるくて振り回されてばかり。でも、会う度に惹かれて好きだって気持ちがごまかせなくなりました。思わせぶりな態度だけで、最後まで好きだって言ってもらえなかったですけど、それでも好きなんですよね」


大きなため息を美姫が吐いた。


「好きになる気持ちに理由なんてないわよ。そんな人だから美姫は好きになったのよ。私だって、最初、理想の結婚相手なら浜田さんのような優しい人ってだけで狙ってたけど、美姫を愛しそうに見ている浜田さんを好きになってたのよね」
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