ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

「そうだったんですか⁈」


「理屈じゃないのよね。でも、恋愛は1人じゃできないもの」


お互い想いあってこそ、恋愛は成立する。


私は、ずっと片思いのまま…叶わない恋を選んだんだ。


「早希さんの気持ち、必ず浜田さんに届きますよ」


「ありがとう。頑張るわ…美姫も諦めないで」


宣言通り、早希は浜田への気持ちを隠さなくなった。


始め、戸惑っていた浜田も、少しずつだが心を動かされだしたらしい。


「友達以上恋人未満ってとこかしら」


と、現状報告をしてくれたのは、あの日から2カ月以上経った終業後、2人でウィンドウショッピングをして食事とお酒を楽しんでいた時のことだった。


「休みの日は、映画や食事に行った後、マンションまで送ってくれるようになったけど、それだけなのよね」


進展しない関係に、お酒の力を借りて不満を言い始める。


「焦らず、待つんじゃなかったんですか?」


「待ってるわよ。でもさ、手ぐらい繋いでほしいって思うのは欲張りなの?私が美姫と友達だから慎重になってるのかな?」


「早希さんから手を繋いでみたらどうです?」


「私から?」


「はい。無理なら裾を掴んでみたらどうですか?」
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