ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「なるほどね…今度挑戦してみるわ。美姫はどうなの?あれから連絡ぐらいしたの?」
首を横に振り、悲しく笑う美姫。
「振られたのに私から連絡なんてできないですよ。彼からも連絡がないですし、偶然会う事もなくなりました。どんなに好きでも、一方通行なんです。彼以上に大切な人ができるまで、彼を好きでいます」
「人に頑張れって言うのに、頑張ってみないの?」
「早希さんのように好きになってもらう可能性がないんです」
「なに?可能性って?意味がわからないわよ。相手は既婚者じゃないんでしょう⁈」
「そうなんですけど…恋愛に向いていない人なんです」
峯岸を思い出し、涙を浮かべた美姫に早希は何も言えなくなっていた。
「もう…何も言わないわよ。今日は飲んで食べて、カラオケでも行ってこよう」
「はい。早希さんはジャンジャン飲んでください」
「美姫は飲まないの?」
「私まで飲んだら、早希さんを誰が介抱するんですか?それに、最近食欲がないので悪酔いしそうだからやめておきます」
「そうよね…少し痩せたと思ってたわ。痩せた原因は彼なんでしょう?」
「そうなんですかね…」