ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
美姫は曖昧にごまかしたが、本当の理由は他にあった事をまだ言えないでいた。
*
美姫と別れた日から、彼女への気持ちがなんなのか理解できないまま、慌しい日々を送っている。
何年も前から、高校時代の友人に自分が会社を継いだら秘書にならないかと誘われていたが、適当に返事を返し、尊敬できない上司に嫌気をさしながら、独立する決意もなく、女とゲームのように遊ぶ事でうさを晴らしていた峯岸は2人の人物と再会した。
その1人が美姫だった。
昔、手を出してはいけない存在だった高校生の彼女が、大人になって同期の彼女として再会し、既に、別の男のものになり過去だと思いながら、あの時に果たせなかった心の欲求に縛られていく。
美姫も他の女たちと同じだと恋愛ゲームのように扱った。
欲求が満たされるまでの一途の関係だと…
丁度その頃、1人の男が秘書にならないかと再び話を持ちかけてきた。
その男は飛鳥建設の御曹司でありながら、親の七光りを嫌い単身で建設の勉強を学びに海外で頑張っていたくせに、ただ1人の女を追いかけて親の会社に戻ると言うのだ。
戻る以上、会社の膿を排除する為に手助けをしてほしいと頼まれる。