ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「そうよね…」
「もう少しだけ働いていたかったんですけど、やはり未婚で妊娠してるって、よく思われないんですね」
「お昼に部長に呼ばれていたけど、上から何か言われたの?」
「辞めろとは言われてないですけどね…遠回しに辞めろって事だと思います。両親が言っていた世間の目は厳しいって、こういう事なんですね」
自分の考えの甘さを痛感する。
「未婚で妊娠したから何⁈何がいけないの。そんなことで会社を辞めろなんておかしいわよ」
「それだけじゃないんです。浜田さんとの事もいわれて、いろいろ仕事しづらいだろうって」
「私に浜田さんを取られたって噂?」
コクンと、頷いた。
「事実も知らないのに、噂を信じるなんておかしな話よね。私が、本当のことを部長に言ってくるわ」
「大丈夫です。浜田さんに迷惑をかけたくないので、浜田さんと別れた後に付き合った人との子どもです。結婚するので今月いっぱいで退職しますと話してきました」
「迷惑かけたくないからって、辞めなくてもいいのに…美姫は、ぽわんとしてるようで、一度決めたら決断が早いって忘れてたわ…もう、少しは相談してよ。そんなに私は頼りない?」