ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

歓喜して、涙が溢れている早希は、夢ではないのかと美姫を見てきた。


そんな早希に、浜田もどうしていいのかわからない様子でおろおろしだし、ペーパーナプキンをごそっと取り出してその紙の硬さに違うと思い元に戻した次に、テーブルに置かれたおしぼりを持ってみるがその冷たさに気がついてテーブルの上に戻して後に、ポケットの中にハンカチがないか探したりしだす始末。


こんな、浜田を美姫は見たことがない。


いつも落ち着いていて、気がきく優しい男だと思っていたが、意外と慌てん坊ようだと心の隅で笑った。


鞄からハンカチを取り出した美姫は、浜田にそのハンカチを突き出して、早希に微笑む。


「早希さん、返事をしてあげないと浜田さんが困ってますよ」


嬉しくて泣いている早希は、浜田の手から美姫のハンカチを受け取り涙を拭うと、不安顔の浜田に微笑んだ。


「はい、喜んで…」


今度は、早希の返事にホッとした浜田が男泣きをしだす。


そんな浜田の涙を、早希が美姫のハンカチで拭いながら笑っていた。




飛鳥建設に勤めだし、やっと峯岸の上司になる飛鳥 零が副社長に就任する為に戻ってきた。


秘書として零を支えていこうと思っていたのに、自分以外にも秘書を置くと言う。

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