ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
その秘書は、結婚するから退職すると言っているのに
、飛鳥 零は彼女を手元に置き、逃がさないつもりらしい。
彼女について調べろと命を受け、報告した時の男の表情ときたら、今まで見たことがない恋する男のようだった。
信じられない…
あの、飛鳥 零が女1人に振り回されている姿を見るなんて、思いもしなかったのだ。
彼女に会った時の俺の感想は、普通の女じゃないか…
俺の美姫の方が、スレンダーで可愛らしい顔をしていると比べている自分に、ハッと気がついて終わったことだと忘れようと仕事に没頭した。
零が、敵陣のパーティーに社長の代理として乗り込むことが決まると、彼女をパートナーとして連れて行くと言い出した。
全く、秘書以外の仕事をさせられるなんてとぼやきながら、ブティックで着飾っているだろう彼女をお迎えに、峯岸が運転手をする羽目になる。
ブティックに向かっている途中、車の中から久しぶりに見た美姫の側には浜田がいて、ファミレスに入って行く姿だった。
「美姫…」
久しぶりの彼女の姿に無意識に名前を呼んでいた。
「美姫ちゃんって誰だ?」
後部座席の零に聴こえていたなんて…
外を覗き、美姫を探す零。
「顔も知らないくせに探してどうする⁈」