ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

イライラする感情


2人が幸せならそれでいいじゃないか…


美姫は、俺のことなんて忘れてしまったのだろうか…


浜田に寄り添い、嬉しそうに微笑む美姫を思い浮かべた峯岸は、ハンドルに八つ当たりするように拳を叩きつけていた。


あの日、美姫を求め、欲望だけとは違う何かを感じた峯岸は、その日以降、女との駆け引きがつまらないと思うようになり、女をほしいと思えなくなっていた。


零が言うように、満たされないのだ…前の会社では、外面と愛想の良さで色めき立つ女達を利用してきた峯岸は、今の飛鳥建設では氷の男と影で言われているほど、女に愛想がよくないのだ。


変わった自分を自覚している。


だが、それは仕事先を変え、環境が変わったからだと思うようにしていた。


しばらくすると、駐停車した車の中の峯岸の目に浜田がいた。


浜田と腕を組んでいる女は、美姫ではない。


見つけた瞬間、車から出た峯岸は浜田の胸ぐらを掴んでいた。


「美姫は?この女はなんだ?」


始め、突然の峯岸の登場に驚いていた浜田だったが、峯岸の怒りの表情に笑っている。


「お前でも、そんな表情するんだな」


少し前にも同じセリフを聞いた峯岸は、更にイラッときて浜田をつき飛ばしていた。
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