ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「いや、違うな。そんなお前から逃げられないよ。俺も強行手段とるかな⁈」
「はあっ?なんだよ、それ?」
「昔から本気になったお前って、したたかで最後まで諦めたりしないだろう。まぁ、それでも俺には勝てなかったけど…」
「嫌味な奴」
「そう言うな。手強いお前がいたから、学生時代は楽しかったよ。お前より上手だった俺が、1人の女に苦労するなんてな」
「それでも、諦めないんだろ⁈」
「まぁな…初めて本気になった女だ。逃してたまるか」
「お互い、1人の女に苦労する姿なんて想像できなかったよなぁ」
「そうだな…」
お互い、昔の自分達を思い出し肩を組み笑った。
そこに、店の外に出てきた店員から準備が終わったと言う知らせを受け、零は店の中に戻って行った。
美姫を今すぐ追いかけたい気持ちがあるが、仕事中だと思い出し、峯岸は零達を待っている間、考えを巡らせる。
感情のまま行動しても上手くいかないだろう。
俺の言葉を素直に美姫は認めないはずだ。
1人で産もうと決意するぐらいなのだから…
じゃあ、どうする?
「…1人にさせないさ」
峯岸は、意味深に笑った。