俺様上司は、まさかの〇✕!?
後編
「あ、高原さん!」
ようやく落ち着きトイレから出ると、ちょうど廊下を歩いていた後輩の岬(みさき)くんが私に気付き、声を掛けてきた。
「あ、岬くん。どうかした?」
「ちょっとこの資料のデータを出して貰いたいんだけど、今大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫。戻ったらすぐ出すね」
「ありがとうございます!」
そのまま歩いて戻ろうとすると、岬くんが唐突に言う。
「……高原さん、もしかして泣いてました?」
「え?うそ?」
そんな!岬くんにバレるなんて!
トイレから出るときに、目が赤くなってないかちゃんと確認したはずのに。
思わず顔を手で覆うと、それを見た岬くんがプッと少し笑った。
「……大丈夫、たぶん他の人は気付きません。僕がなんとなく泣いてたんじゃないかって、気になっただけですから。でも正解でしたね」
「どうして分かったの……」
「いや、最近高原さん無理しているように見えて。いつもの元気がないですよね」