俺様上司は、まさかの〇✕!?
――なんて私と岬くんのやり取りを、まさか見られているなんて思いもしなかった。
仕事が終わり、帰り支度をしているときに、突然課長に声を掛けられる。
「――おい、高原。少し話がある」
低いトーンに、自然にビクリと身体が跳ねた。
恐る恐る振り向くと、あからさまに不機嫌そうな表情を浮かべた課長が立っていた。
「お、お疲れ様です。あの、私これから用事があって……」
「そんなに長くはかからない。なによりも課長の命令だぞ?お前はそれを拒むのか?」
って、どうしてそこで上司の権限を使うのだろう。
そう言われてしまっては、断ることができないじゃない。
「い、いえ。そんなことは」
「じゃあ会議室にこい」
半ば強引に隣にある会議室へと連れて行かれる。
オフィス内の騒めきも、防音設備の整った会議室の扉を閉めればなにも聞こえなくなり、しんとなった。
課長は外から開けられないように鍵を掛けると、私の前に立った。
その威圧で思わず後ずさってしまうが、課長はじりじりと距離を近めていく。