俺様上司は、まさかの〇✕!?
「お!高原。よく俺のこと分かってんじゃねえか」
席に着きメニューを見るなり、課長は嬉しそうな表情を浮かべた。
「でしょう?前からここに課長を連れて来たかったんです!この豊富な焼酎の数々、絶対気に入るかと!」
「素晴らしい選択だぞ、高原。やはり俺の部下だな」
やったあ!
課長に褒められた!
その一言だけで、私のテンションは上がる。
仕事でも課長から褒められることなんて、そう滅多にない。
むしろ厳しい言葉をかけられることのほうがほとんどだ。
けれど、厳しいながらもちゃんと部下に対する思いやりがあって、しっかりとフォローもしてくれる。
だから、それなりに人気はあった。
人間としても、男としても人気のある課長。
でも34歳になった今でも、結婚どころか彼女がいるという話は聞かない。
同じ会社の女性社員が、何人か果敢に課長に挑んでいったという話はちらほら聞くが、皆一様に散っていったという話だ。
仕事もできて、これだけカッコいい人なのに、どうして意中の相手を作らないんだろう?
甚だ疑問には思うが、どちらにせよ私にとっては良い結果である以外の何物でもない。