俺様上司は、まさかの〇✕!?
「お待たせしましたぁ、粕取焼酎になりますー」
ガラリと個室の扉を開け、店員が焼酎とお通しを目の前に差し出した。
お通しはメンマのブラックペッパー炒め。
さらしネギがぱらりと乗っかっていて、お酒のつまみにはもってこい。
そして課長が頼んだ、粕取焼酎と言われるもの。
日本酒の製造過程で得られる酒粕を再発酵させて作られるこの焼酎は、一般的な米焼酎とはまた違った味わいと風味を醸し出す、特別な焼酎だ。
「初っ端からコレって、なかなかの上級者ですね、課長」
「まさか粕取が置いてあると思わなかった。ずっと飲みたかったんだよ。じゃ、乾杯」
私のグラスにあてると、課長はククッとひと口飲む。
そしてゆっくりと喉元を通らせると、一声唸った。
「……おお、物凄い芳醇な香りと味。これは飲み過ぎるやつだな」
確かにこれは美味しい。
口に含めば日本酒のような、甘い香りと味が咥内に広がる。
抵抗感のない喉ごし。まるで水のようだ。
「これは、ヤバいですね」
「旨過ぎだろ?感動もんだ」
お互い言葉を発せず、グラスを傾けつつしばしお酒の余韻に浸っていた。