私はあなたの恋愛相談相手~この思いを胸に秘めて~


その時。


「あ!馨くん。探したんだよ?ここにいたんだ」


と、鈴を転がしたような可愛らしい声が聞こえ、私も馨も同時にその方向を見る。


「あ、鞠子先輩」


長く艶のある黒髪に白い肌。

まるで小動物のような可愛らしさを持つ彼女。


いつ見ても可愛いなぁ、鞠子先輩。


私もチキン南蛮を食べていた手を止め、彼女を見つめた。


噂じゃ、性格も温厚で後輩からも人気があるらしい。


馨も好きになるわけだわ。



「一緒にお昼食べようと思って探してたんだーあ、えっと…」


言葉を濁し、チラリと、困ったように私を見る鞠子先輩。


「あ!ごめんなさい。私のことは気にしないでください。あっちの方に座るんで」


ガタッと、勢いよく立ち上がり、私は鞠子先輩に微笑みかけた。


「悪い。結茉」


口パクでお礼を言う馨にも笑顔を向け、私は学食の隅に移動する。



< 11 / 155 >

この作品をシェア

pagetop