王子様の溺愛【完】※番外編更新中
本の虫を自称するだけあって、恋愛小説も沢山読んできたが、いざとなるとどう振る舞えばいいのかさっぱり分からず狼狽えるしか出来ない。


「そう言うピュアなところ、すごく好きだよ」


もう既に余裕はないと言うのに、依人は更に追い打ちをかけていく。


(先輩は、あたしの心臓を壊す気なの……?)


先輩には敵わないな、と改めて痛感させられた。





恋人繋ぎをしたまま、また帰り道を歩いていた時、縁は掲示板に貼られている縁日の宣伝ポスターが目に止まった。


この地域にある神社で毎年行われているものだ。


(お祭り、いいな……一緒に行きたいけど、先輩は受験だしな)


そんなことを考えながら再び前を向き直すと、依人は縁に尋ねた。


「お祭り、俺と行かない?」

「へ……?」


思わず目が点になった。
依人は読心術を心得ているのではないかと疑ってしまうほどだ。


「いいんですか? 受験勉強で忙しいんでしょう?」

「大丈夫だよ。一応しているけど、どうせ内部進学だし」


因みに縁と依人の通う高校はある有名大学の付属校だ。
どうせと言っていたが、大学・高校共に偏差値が高いので、内部生とは言え進学は容易いものではないはずだ。
依人にとっては問題ないのだろうか。


「それに、俺は縁とデートしたい」

「っ、」


耳元で囁かれて、縁の鼓動は一気に高鳴った。
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