王子様の溺愛【完】※番外編更新中
一通りイルミネーションを見た後、駅の近くにある店で夕飯を食べた。
レンガ造りのレトロな外観の店は人気の洋食屋だが、依人があらかじめ予約を取ってくれたので並ぶことなく席に座ることが出来た。
依人はやることなすことスマートだ。
電車に乗っている時ももみくちゃにされないように守ってくれたし、身体が冷えないようにと持ってきたストールをかけてくれた。
非の打ち所のないと言う言葉は依人の為にあるのではないか。
(あたしも先輩みたいにちゃんと気遣える人になりたいなぁ)
縁は食事を楽しみつつ、心の中でそんなことを考えていた。
食事を終えると、また電車に乗って今日宿泊するホテルを目指した。
三十分ほどで目的地に辿り着いたのだが、二人は聳え立つ高級感の溢れる外観にぽかんと呆然となった。
「凄いですね」
「そうだね」
テレビで見たことはあるけれど、実際この目で見ると、立派なホテルだと実感する。
どう見ても高校生がとても泊まれそうにない代物だ。
二人はそのホテルに気圧されながらも、エントランスに足を踏み入れた。
フロントにて宿泊券を出すと、「お部屋までご案内致しますね」とスタッフに案内された。
接客業なので当然とは言え、高校生相手に恭しく接せられると恐縮してしまう。
「それではごゆっくり」
案内された先は二十階にある一つの部屋だった。
スタッフが一礼をして立ち去ると、部屋の中は縁と依人の二人だけになった。
「豪華……」
室内の内装は豪華の一言に尽きる。
マンションのようにリビングと寝室があるスイートルームは、二人でも広いくらいだ。
中の家具や調度品はアンティーク調で統一されており、ヨーロッパにいるような心地がした。
「縁、こっち来てみて」
一通り室内を見て回ると、大きな窓の傍にいる依人に手招きされる。
「はい」
言われるがままに近付くと、縁は窓から見える光景に目を丸くさせた。
窓から見える都会の夜景は、様々な色の宝石を散りばめたように煌めいている。
「綺麗ですねっ」
「そうだね」
依人はそう言うと、背後から縁を抱き締めた。
「……っ」
何度抱き締められても慣れることなくドキドキしてしまう。
「耳まで赤い」
「~っ」
髪をかきあげられて、ラインに沿って指先でなぞられた瞬間、ゾクゾクとした痺れが頭の先からつま先まで広がった。
慣れない刺激に縁は洩れそうな声を必死に抑えるが、なぞる指先は止まる気配を見せない。
「ひゃっ……それ、くすぐったいです……っ」
縁はぎゅっと目を閉じて依人に訴えかけると、指先は耳から離れていった。
「ごめん。調子に乗っちゃった……でも、縁が悪いんだよ。ちょっと会ってない間に可愛くなっているから」
依人は更にきつく抱き締めると、縁の頭頂部に口付けを落とした。
(先輩、甘いです!)
甘い空気が漂い始め、縁の心臓は絶えずきゅんと高鳴り続けた。
レンガ造りのレトロな外観の店は人気の洋食屋だが、依人があらかじめ予約を取ってくれたので並ぶことなく席に座ることが出来た。
依人はやることなすことスマートだ。
電車に乗っている時ももみくちゃにされないように守ってくれたし、身体が冷えないようにと持ってきたストールをかけてくれた。
非の打ち所のないと言う言葉は依人の為にあるのではないか。
(あたしも先輩みたいにちゃんと気遣える人になりたいなぁ)
縁は食事を楽しみつつ、心の中でそんなことを考えていた。
食事を終えると、また電車に乗って今日宿泊するホテルを目指した。
三十分ほどで目的地に辿り着いたのだが、二人は聳え立つ高級感の溢れる外観にぽかんと呆然となった。
「凄いですね」
「そうだね」
テレビで見たことはあるけれど、実際この目で見ると、立派なホテルだと実感する。
どう見ても高校生がとても泊まれそうにない代物だ。
二人はそのホテルに気圧されながらも、エントランスに足を踏み入れた。
フロントにて宿泊券を出すと、「お部屋までご案内致しますね」とスタッフに案内された。
接客業なので当然とは言え、高校生相手に恭しく接せられると恐縮してしまう。
「それではごゆっくり」
案内された先は二十階にある一つの部屋だった。
スタッフが一礼をして立ち去ると、部屋の中は縁と依人の二人だけになった。
「豪華……」
室内の内装は豪華の一言に尽きる。
マンションのようにリビングと寝室があるスイートルームは、二人でも広いくらいだ。
中の家具や調度品はアンティーク調で統一されており、ヨーロッパにいるような心地がした。
「縁、こっち来てみて」
一通り室内を見て回ると、大きな窓の傍にいる依人に手招きされる。
「はい」
言われるがままに近付くと、縁は窓から見える光景に目を丸くさせた。
窓から見える都会の夜景は、様々な色の宝石を散りばめたように煌めいている。
「綺麗ですねっ」
「そうだね」
依人はそう言うと、背後から縁を抱き締めた。
「……っ」
何度抱き締められても慣れることなくドキドキしてしまう。
「耳まで赤い」
「~っ」
髪をかきあげられて、ラインに沿って指先でなぞられた瞬間、ゾクゾクとした痺れが頭の先からつま先まで広がった。
慣れない刺激に縁は洩れそうな声を必死に抑えるが、なぞる指先は止まる気配を見せない。
「ひゃっ……それ、くすぐったいです……っ」
縁はぎゅっと目を閉じて依人に訴えかけると、指先は耳から離れていった。
「ごめん。調子に乗っちゃった……でも、縁が悪いんだよ。ちょっと会ってない間に可愛くなっているから」
依人は更にきつく抱き締めると、縁の頭頂部に口付けを落とした。
(先輩、甘いです!)
甘い空気が漂い始め、縁の心臓は絶えずきゅんと高鳴り続けた。