王子様の溺愛【完】※番外編更新中
程よい甘さと苦さが口の中に広がっていく。
一言で言うと美味いに尽きるのだが、素朴で優しい味だとも素直に感じた。
「どうでしょうか」
「美味しいよ」
心配そうに窺う縁に、依人は安心させるように髪を優しく撫でた。
元々依人は、他人の手作りは抵抗してしまうのだが、縁が作ったものだけは喜んで食べることが出来た。
「よかった……」
安心したかのようにほっと肩を撫で下ろし、目を細めて笑う縁。
「そこまで緊張しなくてもいいのに」
可愛いな、と思いながら頭を撫でてやると、縁は頬を染めて恥ずかしげに瞳を伏せた。
「だって。あたし、本命チョコを作るのは初めてだから、つい緊張しちゃって……」
(初めて?)
依人はその縁の発言がすぐに信じられなくて、思わず耳を疑った。
自分が初彼であることは知っていたが、縁ほどの可愛さなら男は放って置かないし、誰かを好きになる機会は過去に何度かあっただろう……と依人は思った。
「今俺にくれたのが初めてなの?」
(まさか、俺が初恋なんて都合の良いことあるわけ――)
何となく縁に視線を向けると、縁は目を細めて照れ笑いを浮かべながら呟いた。
「はい……実は、あたしの初恋は先輩なのですよ」
「っ!」
胸がいっぱいになって言葉が出てこない。
ただ、衝動のままに縁を引き寄せて力強く抱き締めた。
「苦しいっ」と言う縁の言葉は聞こえない振りをして、更に密着するように腕に力を込める。
(この子は、どこまで真っ白なんだろう)
依人は腕の中にいるこの純粋過ぎる女の子を、自分の色に染め上げてしまいたいと切実に思った。
抱き締めた腕を解き、力を込めたら壊れてしまいそうな華奢な肩に手を置く。
確認する余裕など塵一つすらなかった。
噛み付くように縁の小さな唇を塞いだ。
縁の肩が驚いたようにビクッと揺れたが、胸を押し返すといった抵抗は一切見せない。
それどころか、依人の黒のセーターを握り締めて受け入れているようにも見える。
何度も塞いでいると、縁の口が酸素を求めようとわずかに開く。
依人はその瞬間を逃さぬように舌を侵入させた。
縁の舌を捕らえては、何度も絡ませていく。
縁から洩れるくぐもった弱々しい声は、今までで一番甘い声だった。
縁とする初めてのフレンチキスに身体は熱くなり、依人の中の衝動は暴れだす。
(今の俺はただの猿だ)
頭の片隅で欲求に従順すぎる己を嘲笑いながらも、縁の甘さに溺れ切っていた。
ふと、両手が柔らかいものに触れていることに気付く。
(ん?)
依人は瞑っていた瞼を薄らと開けたが、今置かれた状況に気付くと、紅潮していた顔は次第に青ざめていった。
依人は、いつの間にか床に仰向けになっている縁に跨っていたから。
更には肩に置いていたはずの両手は縁の柔らかい部分を包み込んでいた。
一言で言うと美味いに尽きるのだが、素朴で優しい味だとも素直に感じた。
「どうでしょうか」
「美味しいよ」
心配そうに窺う縁に、依人は安心させるように髪を優しく撫でた。
元々依人は、他人の手作りは抵抗してしまうのだが、縁が作ったものだけは喜んで食べることが出来た。
「よかった……」
安心したかのようにほっと肩を撫で下ろし、目を細めて笑う縁。
「そこまで緊張しなくてもいいのに」
可愛いな、と思いながら頭を撫でてやると、縁は頬を染めて恥ずかしげに瞳を伏せた。
「だって。あたし、本命チョコを作るのは初めてだから、つい緊張しちゃって……」
(初めて?)
依人はその縁の発言がすぐに信じられなくて、思わず耳を疑った。
自分が初彼であることは知っていたが、縁ほどの可愛さなら男は放って置かないし、誰かを好きになる機会は過去に何度かあっただろう……と依人は思った。
「今俺にくれたのが初めてなの?」
(まさか、俺が初恋なんて都合の良いことあるわけ――)
何となく縁に視線を向けると、縁は目を細めて照れ笑いを浮かべながら呟いた。
「はい……実は、あたしの初恋は先輩なのですよ」
「っ!」
胸がいっぱいになって言葉が出てこない。
ただ、衝動のままに縁を引き寄せて力強く抱き締めた。
「苦しいっ」と言う縁の言葉は聞こえない振りをして、更に密着するように腕に力を込める。
(この子は、どこまで真っ白なんだろう)
依人は腕の中にいるこの純粋過ぎる女の子を、自分の色に染め上げてしまいたいと切実に思った。
抱き締めた腕を解き、力を込めたら壊れてしまいそうな華奢な肩に手を置く。
確認する余裕など塵一つすらなかった。
噛み付くように縁の小さな唇を塞いだ。
縁の肩が驚いたようにビクッと揺れたが、胸を押し返すといった抵抗は一切見せない。
それどころか、依人の黒のセーターを握り締めて受け入れているようにも見える。
何度も塞いでいると、縁の口が酸素を求めようとわずかに開く。
依人はその瞬間を逃さぬように舌を侵入させた。
縁の舌を捕らえては、何度も絡ませていく。
縁から洩れるくぐもった弱々しい声は、今までで一番甘い声だった。
縁とする初めてのフレンチキスに身体は熱くなり、依人の中の衝動は暴れだす。
(今の俺はただの猿だ)
頭の片隅で欲求に従順すぎる己を嘲笑いながらも、縁の甘さに溺れ切っていた。
ふと、両手が柔らかいものに触れていることに気付く。
(ん?)
依人は瞑っていた瞼を薄らと開けたが、今置かれた状況に気付くと、紅潮していた顔は次第に青ざめていった。
依人は、いつの間にか床に仰向けになっている縁に跨っていたから。
更には肩に置いていたはずの両手は縁の柔らかい部分を包み込んでいた。