【11/7改訂版】お願いダーリン！ ～大好きな上司に片思い～

「樋口主任、確認お願いします」
結花の言葉に晃はチラッと目線を送り、書類を受け取るときに結花の手に触れた。
ドキンとし、軽く晃を結花は睨んだ。
（もう、会社で辞めて欲しいよ）

バクバクと心臓がするのを、なんとか抑えながら平静を装っていると、笑いをこらえ口角を上げている晃が結花の目に映った。

（もう！からかって！）

普段、仕事になれば結花に対しても厳しく、甘いところなど微塵も見せない晃だったが、ごくたまに、こっそりとこうして結花を動揺させる。
「うん、いいよ。これで進めて」
無表情で結花にそう答えると、晃はまたパソコンに目を向けた。
「はい」
ニコリと笑ってそう答えた結花の言葉の上から、

「結花ちゃん、晃！」
以前聞き慣れた声が、少し離れた場所から聞こえて結花はその方向に目を向けた。