【11/7改訂版】お願いダーリン! ~大好きな上司に片思い~
「あっ、武田さん。え?どうもしないですよ?」
慌てて繕うように言った結花の顔を武田は覗き込んだ。

「うーん、そういう顔にみえないよ?」
「はい……」
俯いて泣きそうな結花に、武田はポンと頭を叩くと、「何かあったら相談にのるからね」
と声を掛けて給湯室を出て行った。

(そんなに顔に出てたかな……)

なんとか気持ちを立て直すと、結花はコーヒーのトレイを持ってふたりの元に戻った。

「すみません!お待たせしました」
「遅い!小松!」
晃の声に、結花はビクッとなり無言で頭を下げた。
「コラコラ、晃。コーヒーを持ってきてもらっといて何を言ってるの?」
たしなめるような塔子の声と笑顔に結花は、もうその場にいることができなかった。

「仕事に戻りますね」
その言葉だけをなんとか吐き出すと、結花は足早に席に戻るとパソコンに目を向けた。
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