【11/7改訂版】お願いダーリン! ~大好きな上司に片思い~
そっと手の温かさが奪われ、違う温かさが千香の手を包んだ。
そのまま、町田の手が千香の手をぎゅっと握ると、引っ張られるように町田の腕の中に千香はおさまっていた。
「あー、よかったー」
頭上から本当に安堵したような声が聞こえると、抱きしめられている腕に力が込められた。

「でも、女の人と……」
「ねえ、千香ちゃん。本当にちゃんとさっきの女の子見た?」

「え?」
その言葉に、千香ははっきりと女の人の顔を見ていない事に気づいた。
町田の向こう側に歩いているのは解ったが、町田に隠れた顔を見ることはなかった。
それに、女の人といる町田を見て、冷静ではいられなかった自分を思い出した。
「あっ、携帯みてみな」
その町田の言葉に、千香は携帯を出すと着信とLINEの多さに慌ててスマホを開いた。

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