【11/7改訂版】お願いダーリン! ~大好きな上司に片思い~
「送るよ」
「え!大丈夫です。会社からいつも帰ってますよ!お疲れさまでした!」
慌てて首を振って頭を下げた結花に、それ以上言うことなく頷いた。
「大丈夫か?じゃあお疲れ様」
「お疲れ様でした」
少し頭を下げた結花の髪がサラリと顔にかかるのを見て、無意識に手を伸ばして、その手を止めた。
(俺って……いつも無意識にこいつに触れてた?あのころとはこいつも違うのに)
高校の時から結花が頑張るたびに、妹と同じように頭を撫でていた。
その時の癖だったが、改めて今も無意識にしていたことに晃は自分自身で初めて気づき愕然とした。
しかし、その手を今更ひっこめる方が、不自然なきがしていつもより強く頭を叩いた。
「主任……!なんで叩いたんですか?」
この流れで叩かれたことに納得がいかなかったであろう結花は、少し頬を膨らませていた。
「うるさい!奢ってやっただろ。ほら早く行けよ」
「はーい。もう……。お疲れさまでした」
最後は小さくひらひらと手を振った結花の後姿を見送り、晃は小さくため息をついた。