【11/7改訂版】お願いダーリン! ~大好きな上司に片思い~
先輩たちを見送ると、結花はため息をついた。
(やっぱり、ちょっと無理したかな……)
膝を摩りながら、結花は顔をしかめた。
それからどれぐらい経っただろう。
時計を見ると30分が経過していた。
(まだかな……)
そう思ったところで、顔に冷たい雫が当たった。
(え?雨?)
ポツポツと地面を濡らし始めたと思ったら、雨は音を立ててザーっと降り出した。
木の下に雨宿りするために、勢いよく立ち上がったが、膝の痛みで前に倒れる。
(うそ!)
その勢いで、ずるずると1メートル以上下に、土と共に流された。
(嫌だ。どうしよう。この膝じゃ登れない……)
泥だらけになった服と、さっき自分がいた場所を交互に見た。
秋のハイキングと言えば聞こえがいいが、少し肌寒くなったこの季節に冷たい雨は、容赦なく体温を奪う。
ガタガタと震える体を自分自身で抱きしめた。