【11/7改訂版】お願いダーリン! ~大好きな上司に片思い~

「樋口主任、私たちのお酒も飲んでください!」
そんな晃に、あまりにいた女子社員がこれ見よがしに声を掛ける。

晃のそばにいたい気持ちと、この状況から逃げ出したい気持ちが交錯し、結花はギュッと唇をかみしめると、千香に耳打ちをした。

「千香、ちょっとトイレ行ってくる」

宴会場から出て化粧室に行き、少し赤くなった自分の顔を見て、結花は大きなため息をついた。

(薬も飲んでるし、疲れると酔いも回りやすいな。他の女の子に囲まれている主任も見たくないし……)

そう思うと、結花は外に見えた日本庭園に出た。
立派な庭園には色とりどりの鯉が泳いでいた。

ぼんやりと鯉を見ながら、今日の晃とのことを思い出す。
抱きしめられた腕、守られる安心感。
全てが自分の物になればいいのに……。

そんなありえない事を思った自分に、結花は自嘲気味な笑いを漏らした。


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