【11/7改訂版】お願いダーリン! ~大好きな上司に片思い~
「いい天気でよかったですね!」

少しだけ大きくなってしまった声に、慌てて結花は口を手で押さえた。
そんな結花を気にすることもなく晃は小さく頷くと結花をチラリとみた。


「どこの水族館でもいいの?」

「え?どこでもいいですけど…本当に水族館でいいんですか?の私の希望で、主任へのお礼にならないですよね?」

助手席といういつもより近い距離に戸惑いつつも結花は晃に尋ねた。

結花の恋愛は高校生の自転車で止まっていた。
もちろん、いつも営業車や他の人の車には乗ったことがある。
でも、ずっと思いを寄せていた人と、一日お出かけという事が、恋愛偏差値の低い結花にはどうしていいのか分からなかった。

(千香に言われた通り、誘ったものの……)

信号が赤になり、初めて晃にジッと見つめられて、結花は顔が熱くなるような気がした。
戸惑いが隠せない結花の事などわかりきっているのか、晃はいつものように結花の頭をポンと叩くと笑顔を向けた。

「じゃあ、俺の行きたい所に向かうぞ。いいな?


「はい、もちろんです」


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