【11/7改訂版】お願いダーリン! ~大好きな上司に片思い~
「どうしてわかるの?」
町田の問いに結花は悲し気に笑うと、晃を探した。

そしてすぐに晃ではなく大脇をみつた。
結花の胸わザワザワと音を立てる。

外のオープンデッキの一番目立つ場所に彼女はいて、楽し気に笑っているのが見えた。

しかし結花の視線に気づいたのか、結花をじっと見た後ニコッと微笑み、その隣の人に声を掛けた。

(ああ、やっぱり。この為に呼んだのか)

結花は妙に納得し、その場に立ち尽くした。


声を掛けられた隣の人、もちろん晃は驚いたような顔をして結花を見た。

結花はすぐに踵を返すと目の前に町田がいた。

「ゆかちゃん?どうしたの?ああ……」

町田も結花の視線の先にあった光景を理解したようで、いつもの晃の様にポンと頭を叩く。

「ゆかちゃん、いこっか?」

町田の声に、結花は言葉を発することができず、ただ頷いた。

すると不意に手に温かさを感じて、結花はパッと町田を見た。
握られたその手を振り払うこともできず、結花はその場を後にした。



< 92 / 175 >

この作品をシェア

pagetop