神木部長、婚姻届を受理してください!

「そうなんですね」

 何となく、西内さんが提供してくれた情報は知らなかったという程で返事を返すと、西内さんが再び口を開いた。

「うん。だからって立川ちゃんを落ち込ませようとしてる訳じゃないんだけどさ、この間の日曜、部長と中幡さんが二人で居酒屋行ってるところ見かけちゃったし、立川ちゃんが部長にアタックするなら今しかないと思って」

 落ち込まずに頑張ってよね、と付け足して笑う彼。

「この間の日曜って、10日のことですか?」

 私は、彼が中幡さんと部長の二人を居酒屋で見かけたという日を聞き逃さなかった。

「うん。そうそう。二人とも休日出勤してたらしくて、仕事終わった後飲みに行ったんじゃないかな」

 彼の返答に、私は眉を顰めた。

 10日の日曜日は、休日出勤になるからとデートの予定が無くなってしまった日。それなのに、聡介さんは仕事終わりとはいえ中幡さんと二人で居酒屋に行っていたんだ。

 会社の人との付き合いくらい、仕方がない。そんなことは分かっているけれど、どうして元彼女である中幡さんとそんなに親密なのだろう。

 西内さんの言った通り、二人は元サヤに戻るのだろうか。ひょっとして、会社に交際を公表しないと言ったのも、その為なのだろうか。なんて、考えれば考えるほどマイナスな思考になってしまう。

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