神木部長、婚姻届を受理してください!
胸下くらいまである栗色の髪をいつも下ろしていて、大人の色気がある綺麗な中幡さん。彼女は、確か未婚だった気がする。
ひょっとして、部長は中幡さんのことが好きだから私の告白を断ったのではないか、なんて勝手に勘ぐったりしてしまって、ここ数日の私は勝手に気分を落としていた。
振られてからも、結局部長のことばかり気にしてしまって全く前には進めていない。
振られて、きっぱり潔く諦めることができるほど恋を捨てるのは簡単ではないんだと初めて知った私は、二人の姿を視界から消すと、また歩き出した。