神木部長、婚姻届を受理してください!

 二人で話をしながら作業を進めること約二時間。何とか切りのいいところまで作業を終えると、二人揃って両手を伸ばし「あーー」と溜息にも似た声を漏らした。

「終わったな」

「はい!やっと終わりましたね」

 安堵の息を漏らし、口角を上げながら視線を動かす。壁に掛けられている時計を視界に入れると、時刻は11時を過ぎていた。

 もうこんな時間だったのか、なんて呑気に考えながら時計の秒針の音を聞いていると、私は大事なことに気がついてしまった。

「あ!終電!」

 慌てて席から立ち上がると、デスクの上に散らかっているペンや書類を整理し始める。

「もう終電ないのか?」

 私につられたのか、聡介さんまで慌ててデスクの上の書類を片付け始めた。

「確か、35分のが最後だったような気がします!」

「35分って……立川、あと7分しかないけど」

「ギリギリ間に合うはずです!」

「あー、こっちは明日でもいいから。ほら、とりあえず急ぐぞ」

 まだデスクの片付けを続けようとしていた私の右手を突如掴んだ聡介さん。私は、そのまま手を引かれてオフィスを出ると会社の廊下を走り出した。

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