ねえ、夏河さん
あの日の流星群
『わあーっ!』『すごーい!』『綺麗ね。』
1つ。2つ。3つ。4つ。……。
空の落し物が真っ暗な空中で輝いている。
それが落ちるたび、気分が少なからず高揚する。
でも、隣にいる鈴鹿くんは少し違うらしい。
こちらの様子を伺って、流星群を見る合間合間にこちらを見ているらしかった。
『ねえ、夏河さん。』
『少しだけ、聞いて欲しいんだ。』
『あのさ、俺、………』
シーン。
鈴鹿くんの言いかけた言葉が消えていく。
再び鈴鹿くんが口を開いた時、先に聞こえてきたのは周りの人たちの声。『終わっちゃったね。』『すごい綺麗だったね!』『また、見てみたいなあ。』
『………、やっぱりなんでもない。』
何を言いたかったのか、何一つわからずに鈴鹿くんはまた口を閉じた。