きみの頭上には雨雲がついてる。
雨と教室と片思い
梅雨入りが発表されてから5日連続の雨。
まだ生徒たちが登校してきてない教室で私はぼんやりと窓から雨を見つめていた。
ザーッと空から落ちてくる粒は葉っぱや花を揺らして、いつもだったら朝練で声がするグラウンドも雨のせいで水溜まりだらけ。
天気のせいなのか、それともそう思いたいだけなのか私の心はジメジメとしていてこのままじゃキノコが生えそうだ。
――ガラッ。
その時、教室のドアが開いた。
私は振り向かずに窓越しで姿を確認して、はあ……とため息をこぼす。
「っで?今日の言い訳は?」
窓に映るクラスメイトの鈴原が濡れているように見えるのは窓の水滴のせいじゃない。
「傘が途中で折れた」
「それ昨日言ってた」
「じゃあ、俺の周りだけ雨風が台風並みだった」
「それ一昨日」
「うーん、じゃあ雨降るって知らなかった」
「はあ……」
梅雨入りで5日連続の雨で、傘も持たずに昨日も一昨日もそのまた前の日も鈴原はびしょ濡れのまま登校してきた。
そして窓の外を見つめる私にまた同じ言葉。
「タオル貸して」
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