きみの頭上には雨雲がついてる。

ずっと好きだったサッカー部の先輩。
毎朝同じバスを使ってた。

朝練で早い時もそうじゃない時も、いつも同じ時間帯。少し合わせてた場合もあったけど、それでも話すようになって仲良くなった。

連絡先も交換してバカみたいに浮かれていた。

先輩はカッコいいし人気がある人だし無理だって分かってた。だけど止まらなくて、モタモタしてたら他の人に取られちゃうんじゃないかって。

それで先週、告白した。
人生初めての告白だった。


『ごめん。好きな人がいる』

先輩の返事は短かった。

別に分かってた。

私は可愛くないし先輩のタイプでもないだろうし。

でもちょっと他の女子より親しいんじゃないかって。

少しぐらい望みがあるんじゃないかって思ってただけで、振られることなんて分かってたはずなのに子どもみたいにひとりで大泣きした。

それで、ああ先輩って好きな人いたんだなあって。

想われてる人はどんな人かなって考えた。

一度噂になった同じクラスの人かな?それとも他校にいる妹みたいな幼なじみの人かな、なんて想像して。

〝ごめん。好きな人がいる〟という言葉がずっとずっと悲しいぐらい頭の中で繰り返されていた。

それからは勿論、先輩と前のような関係には戻れない。

会えば挨拶ぐらいしてくれるだろうと思うけど、きっと私はまだダメで、笑顔で返せる自信がない。

だからこうして鉢合わせにならないように朝早く学校に来て、部活が休みで良かったって梅雨に感謝して。

なのに、私は先輩がいつも楽しそうにサッカーをしていたグラウンドを見つめている。
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