光~明るいほうへ~
男との密会をすませ、急いでバイト先へ向かう。
バイト先は大学と自宅のちょうど中間にある街のコンビニ。
気づけばバイトの時間まで三十分を切っていた。
駆け込み乗車をした車内は家路につく人間が多く乗っていた。
みんなあたたかい家庭なんだろうか。
誰かがこの人たちの帰りを待っているんだろうか。
そんな風に考え始めると、自分だけが別世界にいるかのようだった。
次元の歪みに独り放り出された心地がしてうつむき、かたく目をつぶった。
なんとか時間ギリギリでタイムカードを通す。
はぁ、なんとか間に合った……。