光~明るいほうへ~
彼にこれまでのことを洗いざらい話した。
その独白は永い永い時間だったようにも思えるし、刹那のようにも感じられた。
きっとそれは今日までの私の道程と同じ。
私が人生八十年を全うするならば。
そう、そして、私の身の上に起こった諸々のこと、きっと他人からみればきっと些細なことなのだ。
だけど、言えなかった。
ずっとずっと誰にきいてほしかった。
だけど、誰にも言えずに生きてきた。
苦しくて苦しくて、死んだ魚のように漂っていた。
「……そうだったのか」
そして、話を聞き終えた彼は涙を流している。
私のために泣いてくれている。
それを見ていると、私の中にひろがっている黒は少しだけ滲んでグレーになった気がした。
「ごめんな、力になれなくて」
ブンブンと大きく首を振る。
「そんなことないよ。今も話きいてもらえてすごく楽になったもん」
私たちは泣きながら笑った。