光~明るいほうへ~
「……なぁ」
彼の真剣なまなざしに胸に優しい痛みが刺す。
「ん?」
「俺たち付き合わないか?」
「……でも、」
私なんかでいいの?
君のような明るい色を真っ黒に染めてしまうかもしれないよ?
「俺のこと、そういう風に見れない?」
プルプル。小さく首を振る。
「だけど、私と付き合ったら明夫まできっと汚れてしまう」
「なんだよ、それ」
「……」
「心は汚れてなんかねーよ!」
私は汚れてなどいない。
嗚呼、これはきっと雪解けだ。
春が芽吹く、分厚かった氷がとけていく。
世界が色づき始めた。
私の世界に光が差し込むのを感じる。
「……ありがとう」
フフ。
私たちは顔を見合わせて笑った。