今年の夏もキミを想う…。


「うう……こんなはずじゃあ」

「どっちが先に行く?」

「うーん……」


目に見えてションボリとうなだれた高知を無視して、宮崎と和果子が順番を決める為の話し合いを始める。

風が吹くとザワザワと草木が揺れて、闇夜にうごめくそのシルエットが、不気味さをまた増大させる。


「ここに長く立ってる方が気味が悪いし、どうせならぱぱっと終わらせちゃおうか」

「あっ、はい……」

「ってことで、あたし達が先ね」


笑顔の和果子に促されて、柚花がパタパタと隣に並ぶ。


「先輩、懐中電灯とかないんですか」


うなだれっぱなしの高知を宮崎が肘でつつくと、突然パッと明かりが灯って、ゆっくりと上げた高知の顔を下から不気味に照らし出す。
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