今年の夏もキミを想う…。


「よし、みんな!そろそろ帰ろう」

「別にいいですけど……何ですか、唐突に。まさか眠くなったんですか」


本当に唐突なそのセリフに、宮崎がボソッと言葉を返すと、高知の肩がビクッと揺れた。

正直過ぎるのも考えものだと思いながら、宮崎は小さくため息をこぼす。


「まあ時間も時間だし、柚花ちゃんをあんまり遅くまで引っ張り回すのもよくないしね」

「そう、それ!それだよ宮崎!!オレは決して、眠いから帰りたくなったわけじゃない」

「はいはい、わかりました。じゃあ先輩、また先頭でお先にどうぞ。その光ってる鳥に、みんなでついて行くので」


行きとは違って、帰りは既に草が踏み固められた道を行くので、高知のあとに柚花が続き、その後ろに和果子が、最後尾に宮崎がついて進んでいく。

懐中電灯の光は少し弱々しくて頼りないが、高知のTシャツで光る鳥は、暗闇が増すほどにその輝きが強くなり、高知本人の姿は見えなくても、その居場所をはっきりと教えてくれていた。

肝試しに光るTシャツというのはどうなのか、そもそもそのTシャツはどこで手に入れたのか、素朴な疑問は尽きないが、聞いたら長くなりそうだったので、宮崎は胸にとどめて口を噤む。
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