今年の夏もキミを想う…。
「先輩……こんな朝っぱらから、よくそんなに元気に遊べますね」
「水の中は気持ちいいぞー。だから宮崎も遊ぼうよー」
村からバスに乗ってしばらく走ったところにあるこの砂浜は、夏休み真っ只中だというのに、人っ子一人いない、またしても高知が発見した穴場であり、夏祭りの花火の時同様、未だ高知だけが知る穴場だった。
「それより、和果子と柚花ちゃん、遅くないですか?着替えに行ってからだいぶ経つのに……」
「全く、宮崎クンはわかってないな」
振り返って後方を見やる宮崎の隣に、引き締まった体から雫を滴らせた高知が腰を下ろす。
年がら年中アクティブに過ごしている高知の体は、どちらかというとややインドアな宮崎と比べて、いい感じに筋肉がついていて男らしい。
宮崎は、羨ましさと、自分の体と比べた時の虚しさしか湧かないその体に、絶対に視線を送らないようにして、後方から前方の海へと視線を移す。
「女の子は、準備に時間がかかるっていうのは基本中の基本でしょ?しかも今回は、水着だよ!やっぱり夏は、海とスイカと女の子の水着だよね」
そう言って楽しそうに笑い、高知はクーラーボックスからまん丸のスイカを取り出す。