今年の夏もキミを想う…。
「あっ、柚花ちゃんの水着可愛い」
「ありがとうございます……。せっかくなので、新しいの買ったんです」
女子二人は、和気あいあいと岩陰でお互いの水着を披露し合っていた。
穴場というだけあって人が一人もいなければ、当然海の家なんかもないわけで。
下に水着を着ているとは言え、その場で服を脱ぐのは何だか恥ずかしいという二人の主張から、目隠しに丁度いい高さの岩陰を見つけて、そこを臨時の更衣室として使っていた。
「海に誘って、水着も新調して。柚花ちゃん、気合入ってるね」
「いえっ!あの、そんな……」
茶化す和果子に、柚花は真っ赤になって恥ずかしそうに俯く。
「でも、ほんのちょっとだけでも、意識してくれたらいいなって、思ってはいて。わたしのこと、妹みたいな存在じゃなくて……異性として、見てくれるきっかけになれば、いいなって」
か細くも決意を秘めた声音でそう言って、僅かに顔を上げた柚花は、はにかむようにして笑った。
和果子も今度は茶化したりせず、笑顔で頷いてみせる。