今年の夏もキミを想う…。
「うん、今日の柚花ちゃんを見たら、もう意識せずにはいられないね。逆にちょっとよそよそしいくらいになっちゃうかもよ」
「そ、それは……それで、困るような」
照れたように笑った柚花は、自分の姿を見下ろして、嬉しそうに、でもやっぱり少し恥ずかしそうにして、水着の上に薄手のパーカーを羽織った。
着てきた服は丁寧にたたんでカバンに入れ、肩から下げる柚花に、和果子も習って、水着の上から大きめのTシャツを被ると、服を詰めたカバンを持って岩陰から出る。
後ろから、柚花がまだ赤い顔を俯けたままついてくるのを感じながら、和果子はTシャツの上からそっと水着の胸元に手を当てた。
宮崎も、自分の水着姿を見て、ほんのちょっとでも異性として意識して、ドキドキしてくれるだろうか……と考える。
そうなったらいいなと思いながら、和果子は胸元からそっと手を離す。
足を踏み出すたびに、サンダルの間からサラサラと砂が入り込んでくる。
太陽の熱に温められた砂を、踏みしめ踏みしめ歩いていると、前方に、パラソルの下で激しく言い争う、男二人の姿が見えた。