今年の夏もキミを想う…。


「だーかーら、小学生のスクール水着は違うんだよ!」

「何が違うんですか。スクール水着だって、水着じゃないですか」

「水着は水着だけど、違うでしょ!“小学生”って限定してくるあたりがもう、悪意しか感じないよ!万が一にもそれを好きだって言っちゃったら、犯罪臭がしちゃうでしょ!!」

「スクール水着と小学生で直ぐに犯罪を連想できるあたり、既に先輩はグレーゾーンですよね」

「グレーゾーンってなに!?何のグレーゾーン!!?」


やいのやいのと言い合っている二人は、一人はばっちり水着姿で、しかも既に楽しく遊んだ痕跡があり、もう一人は下に水着は着ているはずだが、ズボンもTシャツもしっかり着込んで全く脱ぐ気配はない。

パラソルの下で仲良く戯れている男二人の元に背後から歩み寄り、砂浜に敷いたレジャーシートの上に、わざと音を立てて和果子は持っていたカバンを置いた。

振り返った二人が、驚いたような顔で固まる。

その顔を交互に見やって、和果子は深くため息をついた。
< 128 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop