今年の夏もキミを想う…。
「先に行けよ。すぐ、行くから……」
和果子から目をそらしたまま、受け取ったペットボトルに口をつけて、グイっと傾ける。
その姿をチラリと一瞥して、和果子はパラソルの下から出て行った。
和果子がいなくなったのを確認して、ペットボトルから口を離すと、勢いよく喉を流れていく炭酸に、僅かに咳き込む。
「宮崎ー!ボール膨らませて持ってきてー。ビーチバレーしよう!」
腰まで海に浸かって、柚花を乗せた浮き輪を引っ張りながら、高知が叫ぶ。
それでもぐずぐずと動き出さない宮崎の耳に
「先輩、宮崎は実は泳げないんですよ。だから頑なに傘の下から出てこないんです」
聞き捨てならない和果子のセリフが聞こえた。
「えっ、なに?宮崎泳げないの」
「う、浮き輪……変わりましょうか?」
楽しそうな高知の声と、気を使った柚花の言葉を聞いて、宮崎は着込んでいた服を乱暴に脱ぎ捨てて、まだ膨らませていないビーチボールを引っ掴んでパラソルの下を飛び出した。
「和果子!適当なこと言いふらすな!!」
太陽がじりじりと照りつけるように熱くて、露出した肌が焼けそうなほどに暑くて、勢いに任せて飛び込んだ海の水が、とても気持ちよかった。
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