今年の夏もキミを想う…。
「あっ、えっと……もうちょっと右、です」
「ああ、行きすぎですよ先輩。今度は少し左めに」
「左?」
「そっちは右です」
目隠しをした状態でその辺で拾った木切れを手に持ち、高知がシートの上に置かれたスイカの前で行ったり来たりしている。
指示を出している三人は、パラソルの下でサイダーを飲みながら、まったりとその様子を眺めていた。
日はまだ高く、時刻はお昼を少し過ぎた頃。
「あっ、そう言えば、お弁当持ってきてたんだった」
唐突に、和果子が口を開いた。
「おい……大丈夫なのか?一応日陰とは言え、この暑さだぞ」
「保冷剤をありったけ仕込んできたんだけど……どうだろう」
不安そうな宮崎の声を聞きながら、和果子は自分の荷物から保冷バックを取り出す。
チャックを開けると、大量の保冷剤がこぼれ落ちた。