今年の夏もキミを想う…。


「ついたらすぐ涼しそうな場所に置いとこうと思ったんだけど、すっかり忘れててさ。てかそもそも、涼しそうな場所なんて見る限りどこにもないし」


保冷バックから取り出される弁当箱を、宮崎は心配そうに見つめ、柚花も緊張した面持ちで視線を注ぐ。

弁当箱を引っ張り出す間に、また保冷剤がバックから溢れてシートの上に落ちた。

三段になった弁当箱の蓋を和果子がそおっと開けると、そこにはおにぎりが詰まっていた。


「うん、いけそうじゃない?」


特に嫌な臭いもなく、おにぎりは綺麗な俵型に形が整っている。

次の段には、ウインナーに玉子焼きにからあげなど、定番のおかずが隙間なくぎっしりと収められていた。

そして最後の段には


「……なんでサンドイッチ?」

「パンが食べたい人もいるかもしれないと思って」


ふかふかのパンに、たっぷりの具材が詰まったサンドイッチがあった。
< 135 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop