今年の夏もキミを想う…。
「ついたらすぐ涼しそうな場所に置いとこうと思ったんだけど、すっかり忘れててさ。てかそもそも、涼しそうな場所なんて見る限りどこにもないし」
保冷バックから取り出される弁当箱を、宮崎は心配そうに見つめ、柚花も緊張した面持ちで視線を注ぐ。
弁当箱を引っ張り出す間に、また保冷剤がバックから溢れてシートの上に落ちた。
三段になった弁当箱の蓋を和果子がそおっと開けると、そこにはおにぎりが詰まっていた。
「うん、いけそうじゃない?」
特に嫌な臭いもなく、おにぎりは綺麗な俵型に形が整っている。
次の段には、ウインナーに玉子焼きにからあげなど、定番のおかずが隙間なくぎっしりと収められていた。
そして最後の段には
「……なんでサンドイッチ?」
「パンが食べたい人もいるかもしれないと思って」
ふかふかのパンに、たっぷりの具材が詰まったサンドイッチがあった。