今年の夏もキミを想う…。


「楽しい時間はあっという間だってよく言うけど、あれほんとだよね。毎日平等に時間が流れてるとは思えない程あっという間」


感慨深げに呟いて、高知が空を見上げる。

まだ空は明るいが、そろそろ時刻は夕方に差し掛かる。

村へと向かう最終バスは、時間が早い。

水着の上から再び服を着込んだ四人は、それぞれに持ってきた荷物を手にして、バス停に並んでいた。

帰りは来たときよりも、ほんの少しだけ荷物が軽い。

それがまた、楽しい時間の終わりを感じさせて、何だか無性に寂しかった。


「みんなは、いつまでこっちにいられるの?」


すっかり傷んでボロボロになったベンチに、四人並んで腰掛けてバスを待つ。

誰かが体を動かすたびに、ベンチがギシッミシッと不吉な音を立てた。


「俺は、ぎりぎりまでいるつもりですけど」

「あたしも、一応そのつもりです」


まだ中学生で村に住んでいる柚花を除いて、二人が答える。
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