今年の夏もキミを想う…。
目を凝らせば、遠くの方に、バスの車体が見えた。
それは段々と近づいてきて、四人の前でピタリと止まる。
開いたドアから順番に乗り込んで、ガラガラの車内を奥まで進み、一番後ろの座席に再び並んで座る。
窓側に宮崎、その隣に和果子、高知を挟んで柚花が腰を落ち着け、それぞれの間には荷物が置かれる。
遊び疲れた四人は、バスに乗った途端みな一様に黙り込んだ。
ほどよく揺れるバスの中、しばらくして二つの寝息が微かに聞こえた。
和果子は仕方なさそうに隣を見やって、高知は着ていた上着をそっと柚花にかける。
乗客が、一人、また一人と下りて、ついに車内は四人だけになった。
その中でも、起きているのは二人だけ。
村に着くまでもうしばらく時間がかかるため、和果子が自分も少し眠ろうかと思ったところで
「和果子ちゃん……」
囁くような、高知の声が耳に届いた。
横を向いてみれば、高知の視線は床へと向けられている。