今年の夏もキミを想う…。
先ほどの傾きでずれた上着を柚花にかけなおし、目線を上げて、窓の向こうを見つめる。
外の景色を眺めているはずなのに、窓ガラスに映った自分の顔にばかり目がいった。
随分と、情けない顔をしている。
楽しかった今日という日には、とても似合わないような、何とも悲しげな顔をしている。
小さくため息をこぼして、高知は静かに目を閉じた。
もうこれ以上、惨めな自分の姿を見なくて済むように、高知は目を閉じて眠りについた。
その姿を、薄らと目を開けて柚花が見つめていた。
体にかけられた上着をギュッと握り締めて、気づかれないようにその寝顔を眺める。
本当はちょっぴり気がついていて、でも気のせいだと思いたかったから目をそらして、それでもやっぱり、現実は悲しい程に思った通りで……。
高知からそっと視線を外して、今度はその向こうにいる人を見つめる。
未だ宮崎の方を見たままの、和果子の姿を見つめる。
もう一度、高知の上着をギュッと握り締めて、そこに顔を隠すように埋めて、柚花は再び目を閉じた。
悲しい現実から目をそらすようにして、再び眠りの淵に落ちていった。